舞台

September 21, 2009

ホリプロ・銀河劇場「ネジと紙幣」

9月17日 ホリプロ・銀河劇場「ネジと紙幣」@銀河劇場
サブタイトル“based on 女殺油地獄”とあり倉持裕さんが近松の女殺をもとに書き下ろした作品。森山未来さんストレートプレイでの初主演。初日に観て来ました。
歌わないし三枚目でも王子さまキャラでもない汚れ役を森山くんが十二分に生きています。ともさかさんと共に体当たり渾身の舞台は実に観応えあり。

下町の零細工場のダメ息子・行人(未来くん)が幼馴染でお向かいの工場の若奥さん桃子(ともさかりえさん)をどうして殺してしまったのか?を桃子の夫・永太郎(小林高鹿さん)の回想風に語り始める2時間10分はまさに現代の女殺油地獄。歌舞伎と違うのは、行人の家業のネジ工場も桃子の家の工場も裕福ではなくギリギリの生活をしているという設定。これが現代での説得力を深め、物語に惹き込む要素。家庭的にも行き場の無い行人の心情だけでなく時代の閉塞感をも反映して、やるせない気持ちが増幅されます。
はみ出し者の行人が改心し、良かれと思って始めたことが周囲の無理解から負の連鎖となって巡り廻って惨事を引き起こす。世話したがりの桃子のあたたかさがはじめから行人のものだったら、こんなことにはならなかったのに、と全てについてない行人が実に切なく

悪ぶっていても根が善人だろう行人に森山くんの透明感が良く合います。りえちゃんの自在な台詞が物語をしっかり形に創り出して。季衣さん、田口さんはじめ皆さん実に手堅く。

島次郎さんの美術が秀逸。冒頭の土手とボート小屋の配置は歌舞伎版の冒頭を実に上手く取り入れて、工場やその住居部へのセット転換は劇場機構を駆使して実に大胆。大劇場にいかにも小劇場風な空間を産み出しねじ伏せています。
何より驚いたのは殺し場での”油”の出現させ方。人物に集中して観ている間に一気に風景が変わっていてビックリさせられました。からくりに気付けば「あぁそうか」なんだけど、そこに至る伏線が憎らしいほど上手い。これがやりたいが故に本書いちゃったんじゃないかと思うくらい(笑)。

作品とは関係ないけど仮チラシ第2弾でタイトルが変わっていて、率直な感想として『古臭いな。内容も地味そうだわ』でした。
最寄駅がモノレールということで開場当初から常に集客に苦戦している劇場でこのタイトルだと危ないんじゃないか...と勝手に心配したとおり開幕前から得チケ各種でまくってましたね。実力派を揃えていても出演者の名前だけで集める限界があるでしょう。観終えてみれば、まさにこの題名がしっくりくるとはいえ、興行的にはもう一捻りキャッチーなネーミングが必要だったのではないでしょうか。多くの人に観てもらいたい作品と思うだけに勿体無い気がします。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 11, 2009

Team申「狭き門より入れ」

8月24日 Team申「狭き門より入れ」@PARCO劇場

第3弾にしてようやく観ることが出来ました>蔵之介さんのユニット、Team申
はじめから気になってて観たくて毎回チケット取ってるのだけど、直前に用事ができて観る事ができなかった過去公演が悔やまれます。
第3回はイキウメの前川知大さん作・演出、キャストは浅野和之さん手塚とおるさん有川マコトさんに市川亀治郎さんという曲者や食わせ者、そして若手実力派の中尾明慶くん。

こんなに濃い役者さん達が暴れまわったらお腹一杯なんじゃないか?な予感と期待が軽やかにかわされた感じ。
や~、どうしてこの顔ぶれ使ってしみじみ系ヒューマンドラマが書けちゃうんだろう?大きな温かさと、人間まだ捨てたもんじゃないな、の希望をお土産に帰宅しました。

正体不明なキャラクターの中で唯一普通の人な有川さんが普通であるが故に成立するシチュエーション。
総責任者の蔵之介さんは多面的な表現手段を駆使して大奮闘。
浅野さんの過去にゼッタイ何かあるよな雰囲気の怪しさ、亀次郎クンが軽く喋れば喋るほど「きっと裏に何かある」感(笑)と、どの人もぴったりな役で、とおるさんがキワモノに見えないほど変な人ばかり。

今の世界、更新後の世界を行き来する過程(というか道中か)を映像で補うのはイメージ付けやすいのは解っているしこの作品だけを取り上げればありだと思います。でも映像を利用する作品を立て続けに4本観るとさすがに食傷気味。
制約ある舞台で表現しきれない部分を映像で補足するのは悪いことじゃないと思うけれど、観客に親切すぎるのではないかとも。観客の想像力に委ねることで広がる世界を放棄してるようにも思われてちょっと淋しい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 05, 2009

「歌舞伎座さよなら公演 七月大歌舞伎」夜の部

7月4日 松竹「歌舞伎座さよなら公演 七月大歌舞伎」夜の部 歌舞伎座
澤瀉屋奮闘公演月を猿之助さんが舞台に立たれなくなってから一門の若手と玉三郎さんが頑張ってきた7月の歌舞伎座公演。さよなら演目となったのは玉さん得意の泉鏡花。若手がでてはいるものの海老玉まつりの様相か?な予感...

一、「夏祭浪花鑑」序幕 住吉鳥居前の場より 大詰 長町裏の場まで
このところ回数を観てるのはダントツで勘三郎さん&串田さんの団七なので刷り込みをクリアしつつ観るのがちょっと難しい(^^; 
だからという訳じゃなく、ワタシには『勘太郎ちゃんの夏祭』でございました。

場面転換のため2回幕を引くだけ(幕は閉まるけど休憩時間じゃないの)で全編を2時間で通し。やればできるんじゃないか(笑) まだ開いて間もないせいか美味しい場面を上手く繋いではいるものの、納涼歌舞伎ならありかもね、なあっさり感。初役の若手が演じているせいか役の性根が伝わり難い。海老蔵さんが町のチンピラに見えないのが一番のネックかと。ま、体型も含めニンじゃない、としか言えない感じ。
猿弥さんの三婦はかなりの健闘。右之助さんちょっとゲイバー風です。市蔵さんの義平次が鳥屋から出てきた時から死ぬまで『え?笹野さん出てるのか?!』とまじで驚いたほど笹やんに似た体型と動き。他の歌舞伎役者さんの義平次をまるで思い出せなくってちと混乱してます。
(たぶん)初役な方達ばかりの中、コクーンでも演じていて役が入っている勘太郎くんのお梶が出色。お梶が最初に「三婦さん」と呼び掛けると何故か笑いが起きるところは以前と同じで課題かと思いますが、顔に鉄弓を当ててから盆を見入る~啖呵を切るの一連はぐっと胸に迫るものがあります。コクーンではできない花道七三での「(徳兵衛が)惚れるのはここ(顔)じゃない、ここ(心意気)でござんす」の見得が決まった時にはじ~んとしちゃいました。

二、「天守物語」
77年の日生初演から観ている身として、歌舞伎での玉三郎版「天守物語」の完成形を観た気がします。あえて言ってしまうなら玉三郎型「天守物語」として継承されるといいな、と。
CG(美術:小川冨美男さん)や照明(池田智哉さん)、現代音楽(どなたの音楽だったんでしょう?(^^;)の使用について歌舞伎か?との論議はあると思いますが、鏡花のト書きをなるべく忠実に視覚的に表現しようとするとあぁならざるを得ないと贔屓目には許せます。また細かい演出(戌井市郎さん)が変わり、より感情豊かに観客に伝わりやすくなっているのは現代劇化してるのか?という疑問もなくはないけれど、絵空事の幻想世界と体温を感じる異形の者達に権力や金に踊らされる生臭い人間達を天守というひとつ所ですんなり描いてしまう鏡花の世界が歌舞伎座の舞台上にありました。

海老蔵さんも夏祭とは打って変わり清新な美男ぶりが冴え渡る図書之助ぶり。
吉弥さんの薄がより生身になって現代に近寄ってきたように思います。勘太郎さん亀姫は初役、じゃないよね?玉さんとの寄り添い方がかなりディープな意味で好みでした(爆)

玉三郎さんはじめ新調したお衣装の数々。それはそれは見事で溜息が出ましたわ。

幕が降りて現代劇なら普通のタイミングでのカーテンコール。この舞台だったらいいんではないかと(かなり贔屓モードだな)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 20, 2009

また書いてない

4月も半分以上過ぎちゃって、またしても何もレビュー書けてないし。
とりあえず昨日までの行方枠を作っておきませうか。

2日 パルコ・プロデュース SHOW STAGE NO.1「Triangle~ルームシェアのススメ~」PARCO劇場
気弱な作家志望の若者の部屋に転がり込んできた前の部屋に住むロッカーと彼を追いかけてきた婚約者(?)3人の男女のコメディを70~80年代の超有名ポップスに乗せて。
PARCOで男女の物語を名曲と共に、そしてサブタイトルからも懐かしの”Show Girl”を思い出したりします。とはいえオシャレというか洗練さの部分では目指す観客層が違うように感じるのは時代が求めるものの違いでしょうか。
音楽劇として実力がある人達の歌をたっぷり聴けるのは嬉しい。どれもこれも流行っていた当時をすぐ思い出せるような有名な曲ばかりなので、そんな曲を安心して聞いていられるというのは有難いですわ。って、どうしてもお芝居の上での歌詞よりも原曲を勝手に再生してしまい、芝居を観ながら思い出を引っ張り出したりして。
曲の時代に合わせたわけじゃないんでしょうが、なんともオーソドックスな展開が正直かったるい。ミュージカルと宝塚、大劇場をホームベースにする三人がPARCO劇場という空間、というか空間に似合った間合いに納まりきれていないのがザンネン。
出演者に当て書きしたそうで、中でも新納さんのナチュラスさが輝いていてステキ。生真面目で神経質っていう井上くんのキャラはもうちょっとお芝居が柔らかくなるともっとはまるだろうにと。

3日 青年団リンク・うさぎ庵「7歳の孫にジンを2杯飲ませた祖母」アトリエ春風舎

4日 こまつ座/ホリプロ「ムサシ」彩の国さいたま芸術劇場大ホール

11日 いのうえ歌舞伎・壊「蜉蝣峠」赤坂ACTシアター
    「若柳秀次朗追悼 吉蝶会」国立劇場大劇場

12日 新国立劇場「ワルキューレ」新国立劇場オペラパレス

18日 ニッポン放送開局55周年記念公演「キサラギ」世田谷パブリックシアター
    NYLON 100℃ 33rd. SESSION「神様とその他の変種」本多劇場


| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 01, 2009

3月

あんまりにも感想書いてなさ過ぎてさすがにこれじゃイカン、とは思えどもキーボードに向かうと寄り道ばかり。
何がいけないんだろ?ヤル気?(^^;
このままずるずる行かないためにもとりあえず3月に観た舞台のリストアップだけでも。

1日   脇組「BASARA」公開稽古@八潮メセナ
6-15日 脇組 「BASARA」@俳優座劇場
7日   新国立劇場「ラインの黄金」@新国立劇場オペラ劇場
11日  「Rod Stewart」@武道館
13日  zupa「ホネノウツワ」@楽園
14日/28日「ムサシ」@彩の国芸術劇場 
     劇団☆新感線「蜉蝣峠」@ACTシアター
16日  「マルグリット」@日生劇場
18/22日ラック・システム「お弔い」@スズナリ
20日  キャラメルボックス「光の帝国」「すべての風景の中にあなたがいます」@FACE
     山の手事情社「drill」@楽園
21日  PARCO「ストーン夫人のローマの春」@PARCO劇場
22日  THEATER/TOPS「さよならシアタートップス 最後の文化祭」@THEATER/TOPS
      双数姉妹、泪目銀座、ラッパ屋
26日  壁ノ花団「アルカリ」@アゴラ劇場


心残りは歌舞伎座昼夜の元禄忠臣蔵。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

December 08, 2008

東宝「RENT」

7日マチネ 東宝「RENT」シアタークリエ

ロジャー ・・・ Ryohei
ミミ ・・・ DEM
エンジェル ・・・ 辛 源
モーリーン ・・・ 望月英莉加

11月は(も、か(^^;)コマが足らず、幕が開いて一月。ようやく東宝版RENTが観られる。
客席に入って目にしたセットのこじんまりぶりは予想外。センターにマーク達の部屋をのせた盆が!!
屋根付きっていうのは映画のセットを思い出させるんだけど小屋自体にタッパがないんでますます小さく見えて下北沢版って感じ。オフオフから始まった作品だからそれも有りか。

バンドの音...なんかポップなアレンジなのね。のりが軽いっていうか。
そして楽しみにしていた森山君、米倉さん以外は全く知らない未知のキャスト達登場。おぉ衣装が全く違う!トレードマークのボーダー柄セーターもマフラーもチェックになってるしニットじゃないし。今風って雰囲気でもないのに何故こんなに変えたんでしょ?エンジェルのクリスマス衣装が金銀のモールってのは、『なんでもオリジナル』を表現してるにしてもセンス悪くないですか?

そっか、訳詞(吉元由美さん)もやっぱり違うのか。判りやすくなった部分と違和感ある部分が入り交ざり聞いてて落ち着かない。「払えるのか?去年の“分”」とか確かに口語ではそうなるけど歌詞なんだからもうちょっとメロディに乗る語句を選んで欲しかったし主題なんだからRENTのままでよかったんじゃない?歌い出しが「尊厳なくして~」っていうのもワタシはヤだ。逆に“Christmas bells are ringing”はringingのまま残してるけど、歌う人がきっぱり「リーンギン」と歌ってるんで意味が判らなくなってます。いっそ日本語にしてくれた方が良かったかも。
そして最大にヤだったのは、エンジェルの葬儀で友人達(のままなのか別人なのか不明)が青い聖歌隊服を着てたこと。そんなの変だ!

演出は判り辛いところをなるべく噛み砕いて見せることに苦心してるのが感じられました。マークだけじゃなくほぼ全員に説明台詞が増えてた。マークが出かける時ロジャーに「ちゃんとAZT飲めよ」って言い、ミミのベルが鳴って「君も?」って言ったロジャーも一緒に薬飲むっていうのは念押しで判らせようとしてるんだろうけど、どうだろう。
まぁ作品・出演者ファン相手だけじゃなく、団体客あっての東宝ですもん幅広い年齢層にうけないとマズイんでしょうねぇ。実際ワタシが行った回は作品知らずに来た/連れて来られた風な方が多くて1幕は戸惑いの雰囲気。客席全員で乗らなきゃ、などと決して思わないけど、乗りたくても回りに気を遣って乗れないのは悲しかった。)

にしても部屋のセットが狭い!ドアも屋根もつけちゃったから空間が限定されてしまいキャストの動きを小さくせざるを得ない。Today4Uなんてエンジェルが叩けるものさえないんですもん。
背景の階段は下手から上手に真っ直ぐ下る。上手側を時々引き上げて水平に出来る造り。途中に踊り場付けなかったのは失敗だと思うなぁ。ミミのダンスがいまひとつ楽しくないのは振付のせいばかりじゃなく階段で動きを制約されたためもあるよね。

森山マークは思ったより線が細い。ダンスしてる時はすっごく良いんだけど、まだ全体としては迷ってる感じ。
Ryoheiロジャー、若さを前面に押し出すのはありだけど、頑張りすぎでがなる歌い方が好みではありません。歌詞が聞き取り辛い。
DEMミミ、童顔で19歳っぽさはある。若いなぁ...でも元気すぎでは?歌うのに頑張るのはいいけど気持ちも入れてね。そしてもうちょっとお芝居頑張って欲しい。
米倉コリンズは歌の上手さダントツ。表現力の豊かさが心地良く歌手の肩書き面目躍如。お芝居もちゃんと気持ちがのっていて素敵。ファルセット使わず地声でもこんなに魅力的な歌声だったんですね。
辛エンジェル。背が高いけど華奢で可愛い(^^)女の子っぽいエンジェルでワタシ的にありです。歌も安定しているし声質がこの(今日の)カンパニーで一番透明感あるんじゃないかな。コリンズだけじゃなく全員に対しての気配りを見せる仕草がそこここにあって役作りもお見事。英語詞の発音がとてもキレイで聞き取りやすいと思ったらロンドン出身なのね。東宝に出るなら次期ルドルフも、と期待できそう。
望月モーリーン、派手派手で楽しい。ちょっと土屋アンナさんに似てる?Over the Moonのスタンダップがちゃんと抗議っぽくみえた。月を模った帽子を床において飛び越えるのは判りやすい。
ベニー(白川侑二朗さん)はマーク達とずっと気持ちは一緒なんだ、というのが判る善人仕立て。白川さん歌が聞きやすい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 02, 2008

青年座「MOTHER 君わらひたまふことなかれ」

29日マチネ 青年座「MOTHER 君わらひたまふことなかれ」紀伊国屋ホール
青年座マキノノゾミ三部作のトリ。与謝野鉄幹に師事する北原白秋、石川啄木、平野萬里、佐藤春夫に平塚明子(=らいてう)。そして菅野須賀子、大杉栄と歴史に残る有名人達。
彼等全ての中央にでで~~んと存在する与謝野晶子と夫・鉄幹のやり取りを縦糸に、集う人々のエピソードを織り込んだ実にフィクショナルな逸品。大いに笑って泣かされて。

主役の晶子がキラキラ輝いているだけじゃなく、一人だけでも1つの作品になる有名人ばかりの脇役全員がちゃんと個性を魅せていて素敵。
この世の人じゃなくなっちゃったのに普通に登場させてしまうのは反則技かもしれないけれど、晶子になら見えただろうし通に接しただろうな、なんて納得させられる要素があるので違和感はない。胡散臭いアナキスト・大杉もそんなキャラだしね。
テンション高い人々の中、一人どことなく淋しそうで影の薄い啄木が(悲しいのだけど)程好いアクセント。

夫婦のちょっと変わったやり取りやケンカ、何気ない普通の会話など「どうしてこんなに惹かれるんだろう?」と不思議な吸引力は脚本の妙もさることながら、キムラ緑子さん山路和弘さんの魅力的な役作りに負うところも大。

何と言ってもドリさん。生の塊りが湧き出しているような強烈なエネルギーを撒き散らしキラキラ眩しい程に魅力的。作家としてのピークを過ぎてしまい内に篭る鉄幹と11人の子供達の面倒をみながら精力的に創作を続けていった晶子像が活き活きと描かれています。単に元気とか威勢が良いとかだけじゃなく、身体の芯から発せられるパワーを演じ続けることができるそのパワーに脱帽。
だめ男な鉄幹に山路さん。甲斐性なしで大きな子供みたいな鉄幹が可愛いと思えちゃうのはズルイなぁ。まぁ晶子がずっと尽くしたいと思えるだけの人間的な魅力がないと説得力に欠けるものね。
互いに真っ直ぐに気持ちをぶつけ合って生きてきた二人の会話は、どんなに派手なケンカをしていても互いを思いやる暖かさが底辺を流れているのでトゲトゲしくなることもありません。仕方なく、じゃなくて心から相手を敬愛している対等な二人の姿が羨ましいほど素敵でした。

マキノさん演出なので全公演にM.O.P.から客演の役者さん。本作には主役のドリさん、啄木に奥田さんのほか刑事役で永滝さんが御出演。奥田さんの端正な芝居が啄木にぴたりとはまってました。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

December 01, 2008

東宝「エリザベート」

29日ソワレ 東宝「エリザベート」帝国劇場
キャスト:エリザベート/朝海 トート/山口 ヨーゼフ/石川 ルドルフ/伊礼 ゾフィー/初風 ちびルド/太田力斗

自分のせいなんだけど、予定が二転三転していつどの組合せを観るのかかなりあやしい記憶で始まるまでずっと涼風エリザだと思ってた(^^;ま、今年初エリザなのでどちらでも問題ないんですが。
演出がまたちょっと変わったのね。エリザの衣装は全部新調なのかな。

朝海さん、武田くんとの「愛の勝利」を観てすっごく心配だったんですが、高音が苦しそうなのと、ちょっと力み過ぎなところが気になったものの、少女時代のシシィが可愛らしく、歳を取ってからの雰囲気もあってよかったです。負けず嫌いっぽいキャラがエリザにあってる。
山口トート閣下の説得力ってやっぱり凄いわ。歌詞が物語として身体に染透ってくる。囁きは好みの問題が大きそうだけど、ワタシは好き。身体動かさないけど声で妖しさの表現してるということで。衣装換え回数増えてますか?

初風ゾフィー初見かも。息子への愛と国家への忠誠心の塊といった古いタイプの母親像そのもの。歌声がたまにブレるのが心配。
石川フランツは若い時は母に、歳取ってからはエリザに寄りかかりたい甘えん坊タイプでいじらしい。

伊礼さん、歌い始めにとんでもない音取っちゃうのはたまたまでしょうか?(^^;ダンスがというか動き全体が...若いのになんであんな重たげなんだろう。
声質の問題かなぁ?山口トートと伊礼ルドは相性が良くない。「闇が広がる」ハーモニーとは言い難く互いの声で聞かせどころ消しあってる感じ。
太田ちびルド君はビジュアルがすっごく可愛い(^^)舌っ足らずな発声も頼りなさげで。
高嶋ルキーニはもう職人の域ってとこなんでしょうか?振り付けが妙に風情になってた。

さて、次回こそは山口&涼風ペアだわ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 23, 2008

平成中村座「法界坊」

22日 松竹 平成中村座「法界坊」平成中村座

Dscf0800第一回の平成中村座が「法界坊」でした。大阪、NYの公演を経て7年ぶりの浅草凱旋。
桜席(まさにザ・桜席でした)から拝見。串田さんの仕掛けがたっぷり詰った演目だから裏方作業を見るのが実に楽しいですわ。
本日は桜だけじゃなく舞台上両端に直接座布団を置く羅漢席も出る盛況振り。でも羅漢って役者さんから最も近いけど見世物になった気分でずっといるのがツラそう。

串田演出は進化し続けてるなぁ。すっきりスピーディになっても、派手な見せ場だけじゃなく物語りがちゃんと印象に残るのだもの。
7年ぶり、ということは役者さん達当たり前だけれど7年分歳を取ってる。にもかかわらず更に切れが良く(一部は不気味に)なってるってどうしてでしょうね?亀蔵さん@番頭なんざ唯一無二って域まで達しちゃってますわ。
七之助くんの野分姫が自刃しようとする間合いがもう絶妙。勘太郎くんの松若が法界坊にニセ一軸を破かれた時に狂気を孕む豹変振りがいいのです。

Dscf0797
初演では「世界一低い宙乗り」として客席を真横に飛んだ双面、今回は客席宙乗りを止め、舞台裏を大きく広く使ってのスペクタクル演出。あんな大技を持ってこられるとは思ってませんでした。楽しませてくれてありがとう!


座席にある協賛企業のアンケートに記入提出すると毎回先着50名(だったか?)にエコバッグのプレゼントあり。ポケット部分に本体を収納できるので携帯に便利。ありがたく使わせて頂きます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

国立劇場「江戸宵闇妖鉤爪」

22日 国立劇場「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやかしのかぎづめ)-明智小五郎と人間豹-」国立劇場大劇場
江戸川乱歩作品を歌舞伎にしちゃおうという意欲作。染五郎さんが長年温めていた「乱歩歌舞伎」企画。これを公的な劇場で上演するというのはすっごい挑戦だと思います。1度だけでは形にならないでしょうから今後も続けて欲しいチャレンジですね。

Webで読める「人間豹」のあらすじ はこちら。
子供の頃に片っ端から読み漁った乱歩作品。二十面相シリーズをのぞいて大半が影とか闇のイメージをまとっていて、そのどこか妖しい風情が好きでした。何も解決しない観終えての後味の悪さは乱歩の作品そのまま。

神谷芳雄は吉之助に、明智の妻・文代はお文さんへと名前替え。だけど明智は明智小五郎のまま!確かに小五郎という名の幕末の有名人がいましたっけね。

乱歩作品の舞台化といってすぐ思い浮かぶのはなんと言っても「黒蜥蜴」。次は「陰獣」「人間椅子」「少年探偵団」ってとこでしょうか。闇の世界の話であっても華やかな人物や派手な道具立てが登場するから芝居として成立させやすいように感じます。
本作、あえてダークな部分だけで構成しちゃった姿勢は作品を大切にしているとは思いますが、歌舞伎としてどうか?という点では...かなり疑問。正直に言ってこの父子だったらシアターナインスででも現代劇として上演した方が良かったんじゃないかと。
太鼓のアップテンポなリズムそのままに芝居が進行したなら楽しめたかも。

現代劇ならお子様向け冒険活劇にすることも犯人の心理を深く掘り下げて苦悩や悲哀なんて方向に観客を導くことも自在だけれど、歌舞伎でどちらの方向に持っていくかは難しいところ。活劇なら動いて動いて駆け抜けなきゃいけないし、感情面を見せ場にすると地味~なものになってしまいます。この作品ではバランスをとったどちらも有りにして(というかどっちつかずっていうのが正解か)普通に物語が進行する途中に捕り物を大袈裟にしたり、大凧乗り。アクセントとして動きを派手にしたのでしょうが、とってつけた感ありありで座りが良くないのが居心地悪くって。ワイヤーアクションも頑張ってるのだけれど、芝居との一体感がないのでピンとこない。
(そもそも『大凧にて宙乗り相勤申し候』って謳い文句だったのに凧では宙乗りしてないのは何故?(――;)
コンパクトにまとめようとしてか会話の大半が筋を運ぶための説明台詞となってしまい、本を読むような「次は何が起きるの?」の高揚感には繋がってないのがザンネン。
台詞と実態が噛み合ってない部分も気になります。「町人の格好してるが、侍だね」って五つ紋ついた着流しの町人っているのか?

染さんジーン・シモンズ?(爆)まさかの隈取り逆輸入な感じ。豹が...もっさりしてて豹に見えない(>_<)
幸四郎さん、ゴメンナサイ。ワタシの明智さん像はすっきりダンディなんです。TVの天地茂さんは有りなんですが。
春猿さん顔や声を創り替えて3人の美女に大奮闘。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

   舞台 趣味