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January 24, 2007

こまつ座「私はだれでしょう」

23日 こまつ座「私はだれでしょう」紀伊国屋サザンシアター

1月14日に上がるはずだった幕が台本の遅れから2度の初日延期となり、実際に上がったのは昨日、22日のこと。
台本完成は17日朝と報道で知っていたので、3ステージ目ではまだまだ心もとないのでは?と覚悟を決めての観劇でしたが、予測は良い意味で裏切られました。
重箱の隅をつつけば(笑)物語の収束に弱さが見受けられるものの、作品としての完成度はかなりのものです。公演ごとに出演者を集めるプロデュース公演にありがちな全体の統一感の無さや明らかな稽古不足といった部分は微塵も感じられず、いつものこまつ座クオリティ。飽きずにあっという間に3時間20分。

もちろん、そのレベルにしたいがために2度目の延期を決断したのだ、ということなのでしょうけれど、ここまでしっかりと出来上がっていることに、まず感動しました。
(何が何でも予定通りに初日を開けさせた某劇場プロダクションは...でしたものね(^^;)
出演者はもとより、全てのスタッフさん達のご苦労いかばかりだったことかと。

物語は、タイトルの印象どおり、ちょっとミステリータッチのコメディ。それでいて、作者が今の日本に抱く危機感が強く表現されており、正に今、上演されるべき作品だと思いました。中でも大鷹さんの台詞には、はっとさせられる言葉が多々ありました。
観客を含め多方面に多大な迷惑を掛けたとはいえ、粘った成果は舞台に表れています。

米軍将校姿の蔵之介さん、七三分けの髪型も含めてカッコいいです(^.^)制服好きなら見逃す手はありません(笑)
川平さん演じる山田太郎の謎が解けた後のあっけなさがちょっと物足りない感じはあるけれど、純粋で一本気な太郎くんステキです。普通の板の上でしかも普通の革靴でタップ踏んでちゃんと音が出るって凄いわ。
有起哉さんの組合活動員は頑張る姿の一途さが印象的だけど、裏事情に気付いてから一転する部分の描写があとひとつ。まぁそれも台本遅れたためだろうから回数を重ねるうちに進化することでしょう。
浅野ゆう子さんの毅然とした職業婦人像と歌の振りの面白さのギャップが楽しい。
そうそう、振付けはなんと井手茂太さんでした。


パンフレット the座の特集記事は、(ワタシは知らなかったのですが)効果音の創始者・和田精さんの仕事。
こまつ座のちらしも手掛けるイラストレーター和田誠さんのお父上だそうです。和田家に眠っていた多数の資料から、写真や当時の台本に書き込んだ効果音のメモ。「調査時報」などに掲載された効果音についての手引き。誠さんが語る父上と築地小劇場のこと。新資料(台本書き込み効果音と楽譜)による築地小劇場第58回公演「マクベス」誌上再現など盛り沢山。単独でも買い、の一冊。
パンフの公演日程が再延期されたものになってたり、作者前口上に『買った切符が二度もだめになったお客様 云々』とあり、いつ印刷したんだ!?と驚かされます。

「マクベス」キャスト表、辛うじて判る名前は夫人役の東山千栄子さんくらいかぁ...とみればマグダッフの倅=吉田日出子とある。昭和2年なんでワタシが知ってるデコさん、のわけないよね(爆)

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