ホリプロ「オレステス」千秋楽
1日 ホリプロ「オレステス」シアターコクーン
東京千穐楽。ずっと安定してると思った中嶋さんからしていきなり佇まいもテンションも違う。エレクトラとしてそこにいるのね。集中してるというより自然体。出演者全員がそんな状態で、だから大声で叫び続けられても、初日のようにただ大声だとは感じずに、大きな声で嘆かずにはいられない感情の発露になってることが伝わってくる。
楽日だから、と言うのではなく1ヶ月公演で身体に役が浸みついた、と言う方が近いんでしょう、たぶん。
エレクトラとピュラデスはオレステスを挟んでの三角関係。二人とも芯が強く(行動だけ見ればホントかどうか疑わしいけど)頭良さそう。平和な時ならオレステスを取り合って仲違いしてるに違いないのに不思議な協力(っていうより共犯か)関係。ま、所詮ギリシャ悲劇の人間関係だから、曖昧なまんまでも構わないんだけど、この二人を結婚させる取り決めをしたオレステスって君は誰が好きなの?と問い質したくなる(笑)どっちも自分の傍にいてくれりゃいいのかな?
「おまえの世話が出来て嬉しい」とエラクトラもピュラデスも同じことを言う。そしてオレステスは「目ヤニを拭いて」やら「連れて行ってくれ」など終始二人に甘えまくり。しかもその場その場のどちらかの言葉で行動も変わる。今の今まで喉元にナイフを突きつけていた相手と結婚しろとアポロンに言われりゃその通りにいたします、だし。
あぁそっか、オレステスは自立してないんだ。言われるがまま行動してる情けない存在だと思えば運命に翻弄された若者って美化して言い換えることもできるのか。
まぁアポロンの宣託でそれまでの一切合財をなかったことにしちゃう人々なんだから全員が神様依存症なのは間違いないけどね。
(とりあえずアポロンさまには「ちょっと、いまの一大事なかったことにする気?」と某お芝居のセリフを言ってやりたい(爆))
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