PARCO presents「噂の男」
28日 PARCO presents「噂の男」PARCO劇場
福島三郎脚本をケラさんが演出、というミスマッチがどんな核融合を起こすのかと楽しみにしてましたが、かなりケラさんの潤色が入っているようだということで、純粋な融合にはならず侵食されちゃったようです。それほど表面的には福島色を探し出すのが難しい状態になってました。チラシのキャッチは「ただの噂の代償は、えらい高うつきまっせ。」どこにも噂が登場しないし(^^;
実に古めかしい宝田グランド劇場の半地下、ボイラー室横の舞台袖で繰り広げられる1シチュエーション・サスペンス(というよりホラーだった)・コメディ。
旧式のボイラーは調子が悪く、修理にやって来た整備技師(八嶋さん)は仕事もせずに芸人さん達にダメ出ししたり野放し状態。
売れっ子のピン芸人ボンちゃん(山内さん)と、妻(水野顕子さん)の情事を知らん顔する夫(猪岐英人)は「骨なしポテト」という夫婦漫才。
12年前に人気だった漫才コンビ「パンストキッチン」のアキラ(さとしさん)はボイラーの事故で死亡、相方のモッシャン(じゅんさん)がアル中となって劇場地下棲み付いてるらしく、劇場支配人の鈴木(堺さん)は当時彼等のマネージャーだった。
一目瞭然な人間関係のようでいて、12年前に遡るとそれぞれ違った曰因縁があり、心の闇の部分が見えてくる。芸人の嫉妬と悪意、愛情のもつれから生まれる憎悪。12年前と現在とを行き来して同じ人間がどんなに変わったのか、変わらないのかなど複雑な見せ場が多く引き込まれます。直接的間接的に暴力的に誇張された表現で綴られる重苦しい舞台。劇場の舞台ではお笑い芸人が観客を笑わせている音が聞こえてくるだけに、笑えない状況の舞台袖の人々がより際立って寒気がしてくるようなある意味夏向きのお話。
若手マネージャーだったのが12年前というのが信じがたく24年前なんじゃないの?ってな老け具合も心の病のせいかしら?そんな堺さんの12年前はホントに若々しくて年齢不詳。(ヒロくん充分やれると思います。初演キャストでの再演熱烈希望!)
一見暴力&切れキャラだけど一番普通の人なのは山内さんのお約束になっちゃってるかな。八嶋さんがキレるとマジ怖いというのはエドモンドの時にも思ったっけ。目がねぇすっごく醒めてるんだよね。粟根さんと同じく殺し屋の目だと思う。
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