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August 14, 2006

伝統の現在 NEXT III「眉かくしの霊」

10/13日 M&O plays プロデュース 伝統の現在 NEXT III「眉かくしの霊」
         -夢幻能形式のよる鏡花III- 紀伊国屋サザンシアター

シテ・ワキとも能楽師さんだった前2作とは違い、現代劇の谷川昭一朗さんに狂言師の茂山逸平さんという顔合わせで新たな試み。

加納さんの演出では常に道具の使い方にはっとさせられるのだけれど、特にこのシリーズは素舞台に最小限の道具でいかに幻想を見せてくれるか、を堪能できるので毎回楽しみにしています。
L字に組んだ障子と格子戸、たった4つを黒衣が移動することで次々に産み出される場、空間の切り取られ方、更には移動の美しさにも終始わくわくどきどきしていました。
例えば冒頭、四方をL字の格子戸で囲んで表していた列車内が、戸を対角線にすっと引くことで出来た空間によって降車ドアになり、駅舎になり、さらに別の場所へと変貌。また円を描くように動く戸の間を歩く演者は町をさすらっているよう。能狂言では抑制した演者の幽かな動きで表現する部分をビジュアル化した、という感じでしょうか。

旅人が彷徨いこんでしまった現に有るともしれぬ旅籠屋で出逢った料理番の回想。料理番以外の登場人物を黒衣4人が交互に演じるのも現にはない人っぽくて。話に連れてシテとワキが入れ替わるような描き方も面白かったです。はじめに枠の中にいた逸平くんが外で谷川さんが囲まれているラストという対比も印象的。

逸平くんは古典風な張る言い回しでのト書きとややくだけた現代調での台詞を使い分けて。谷川さんのきっちりした現代劇的な佇まいと調和してました。
笛方が初日は松田弘之さんで13日は松尾慧さん。切り裂くような松田さんの笛の怖さと台詞に寄り添うような松尾さんのおだやかさ、違うアプローチながら物語に似合ってました。


代官ばばぁが首から提げてる大蒜と韮茗荷の首飾りを見て某吸血鬼のお芝居を思い出したことはナイショです(^^;

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