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July 20, 2006

椿組「GS近松商店」

19日 椿組「GS近松商店」花園神社境内特設ステージ
鄭義信さんの作品はまだ2~3作しか拝見したことが無いのだけれど、身体的ハンディキャップを持つ人、“よそ者”と呼ばれる人など、社会的弱者を主人公にすることで現代社会に対して伝えたいメッセージを表現しているのだろうとは薄々。

今作の主人公、近松菊子も一見とても活発できれいだけれど片脚が動かない。そのことで周囲が何か言うわけじゃないけれど、本人の心には引け目があるように見受けられる。
タイトルで予想できるように近松作品でガソリンスタンド=油となれば「女殺油地獄」。資産家の母が店を守るために選んだ次の夫が元使用人で息子の光は(やはりハンディキャッパーなとこはちょっと違うけど)遊び暮らしてるという設定もそのまま。本歌取りで進行するのかと思いきや、菊子は家庭的に幸せってわけでもなく、その兄姉もまた色事がらみでぐずぐずで...あっちもこっちも身勝手な恋愛沙汰で揉めまくり。これが10代なら青春の一括りで済んじゃうのだけど、20代後半(位?)~50代ともなると、生活が滲んじゃって暑苦しいのなんの。

15分休憩を挟んで二幕3時間強、出演者全員に見せ場を作る劇団ならではの部分のおかででかなり冗長。客演も大人数で彼等の使われ方に疑問があるだけに、若手部分はばっさり切って欲しかった。
そして「あぁまたか...」と思っちゃう扉を開くと別世界、のラストシーンも正直いらない。しかもカップル同士で殺し合う姿は蛇足だと思うのね。というか、近松を題材にした意味が判らなくなっちゃう。鄭さんの脚本にそこまで描かれているのかどうか知りたいかも。

せっかく近松~なんだから、劇中劇にも近松物を使えばよかったのに。違うとしても忠臣蔵もってくるくらいなら四谷怪談じゃないだろうか?夏に冬芝居、笑われますぜ。

今回台注目は岡田義徳さん。吃音者であるが故のねじれ加減とか、すぐ言葉に出来ないもどかしさから暴力に走りがちな部分とか、安直にも思える設定ではあるけけれど、とても自然体で且つ熱く心揺さぶられました。馬渕英俚可さんも観る度に舞台人としてぐんぐん伸びてる。この二人の心中シーンは観応えたっぷりで凄かったです。
3月にはまだ松葉杖使ってらした亨さん、かなり派手に飛んだり跳ねたり。お怪我全快とお見受けしました、おめでとうございます。

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