クラウディアからの手紙
ホリプロ/TOKYOFM「クラウディアからの手紙」@世田谷パブリックシアター
すべて現実にあったこと。その裏付けがあればこその説得力なのでしょう、無私の愛が心に沁み込む物語。最後は号泣でした(もちろん泣ける芝居が良い芝居だなんて思ってる訳じゃありません)。
TVのドキュメンタリー番組として何度か制作され、ご自身がいまも講演活動をされているという蜂谷弥三郎氏の実話。妻子と共に朝鮮に滞在中に終戦、ひとりスパイ容疑でシベリアに拘留され、容疑が晴れぬまま刑期を終えて出獄は許可されるものの日本への帰国は許されず。そのうち出会ったロシア人女性クラウディアとの38年に及ぶ生活、ソビエト崩壊が最後のチャンスと弥三郎を50年ぶりに日本へ帰そうと奔走するクラウディア、待ち続けていた妻の久子。
時代-戦争-に翻弄された“一市民”が何故50年もの間スパイとして監視され差別され虐げられてしまったのか?そんな彼を支え38年も共に暮らしたクラウディアが彼を日本に帰そうと思えたのか?久子さんは何故彼を待ち続けられたのか?...ワタシが同性だからかもしれないけど、蜂谷氏は地獄のような日々を生き抜いただけでも凄いことなのは判るのだけど、それよりも女性二人が決断したからこその現在なんだと受け止められ、女性達の信念の強さに心打たれました。特にクラウディアは80歳を過ぎて人生のパートナーと別れ一人で生きていくことになる決断、何故そんなことが出来るのだろう。
演出は鐘下さん。TVドキュメンタリー番組をそのまま舞台にしちゃった、なんてお手軽なところには持っていきません。50年間をナレーション形式で繋ぎながら、台詞なしにただそこに居ることで心情を表現する高橋惠子さんと斎藤由貴さん。この二人の存在感が圧倒的かつピュア。クラウディアと話し合う弥三郎、一人佇み待ち続ける久子とが同時に舞台上に居る大詰めで高橋さんは彼等の会話を聞きながら本当に泣いてました。そして手紙を読み上げる斎藤さん、隣に居る蔵之介さんまで。“本当に泣く”こと自体が演出なのだとしたらちょっと鼻白むところだけれど、そうは思えないと言うか思いたくないよね(舞台上で何度もハンカチ出して涙を拭いたり鼻をそっとすすり上げるほど泣く芝居なんて女優としてはやらんだろうし)。演じ手さえも毎回感動してしまう物語なのでしょう。
コロスの男性陣は井手茂太さんの振付でちょっとした違和感を持たせつつも同胞や拘留されている仲間、ロシア兵、などに。山西惇さん、すまけいさん、小林勝也さんが手堅く脇を締めて。
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